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またね(ついったー交流)

ついったータグの
#リプくだすった方のお子さんを拉致してうちの子と絡めて小さなお話にして叩きつける の小話です
よしむらみよさん宅のミリアちゃんとうちのスィオネの話です

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人で賑わう市場通りの一角、小さな店がある。
明るく華やかな周りの店々とは対照的に、シックな木造りの道具屋であった。

桃色の髪をなびかせて少女は、重い硝子刷りの扉を押し、戸に結びつけられた鈴の音を響かせた。しばし店内を見回した後、壁に沿って置かれている棚の上段に手を伸ばした。しかし、成長期を迎えて間もない少女の背では、つま先を立て、ぷるぷると震えるまで足を伸ばしても、目当ての品ー硝子の小瓶ーには届かなかった。
踵をおろし、商品に視線を注いだままため息をついた。…ジャンプすれば、届くだろうか。しかし棚には他にも、硝子製のフラスコや試験管も置いてある。跳んだはずみで、落としたり、壊したりしたら……。
少女はもう一度、足を伸ばして取ろうと試みた。が、あと少しというところで、目の前の小瓶は視界から消えてしまった。
「あっ………」
態勢を戻し、横に視線を向けると、先ほどまで必死に格闘していたその品を手にした、緑髪の少女が立っている。
「あぁ…」
少女は悲しみの色をたたえて小瓶を見つめた。
「…………はぃ」
緑髪の少女はにこにこと微笑みながら、小瓶を差し出した。
「えっ?」
彼女は瓶を取った後、そのままレジスターに向かうのだと思っていた少女は、思わず目を丸くした。
「?これ…欲し、かた…でしょ?」
半ば無意識に小瓶を受け取ってから、少女はやっと状況を理解したらしい。頬を薄く桃色に染めて、笑顔を返した。
「…ありがとう!」

「あの、その…瓶、なに、使う、の…?」
無事に目当ての商品を手にできた少女は、心優しい緑髪の少女と共に店を出た。緑髪の少女はおっとりとした瞳と柔らかな笑みを崩さずに、尋ねた。
「これ?これはね…お薬を入れるの。透明だから、他の薬品と間違えないかなって思って」
壊れないよう、小瓶を入れた鞄を抱きかかえながら、緑髪の少女の隣を歩く。ちょうど街が紅に染まり始めた時分で、通りは、昼間ほどのにぎやかさは見せていない。
「……あ、ぼうけん、しゃ…?」
「そう!あたしね、メディックなんだっ」
楽しそうに声を弾ませながら、少女は答えた。
「あ、わ…私も、メディ、ク……」
「ほんと?!うわぁ、なんだか、あたしたち似てるね!きっと年だって同じくらいでしょ?それに、髪のくくり方まで一緒なんだもん!」
少女の明るい声に合わせて、緑髪の少女はやさしく頷く。
「ん…そうだ、ね」

しばらく、家が建ち並ぶ閑静な通りを歩いていると、小さな少女はぴたりととあるギルドハウスの前で立ち止まった。
「あ、あたしここなの。…あの、今日はほんとにありがとう」
少女はくるりと相手に向き、ぎこちなくお辞儀をした。
「うん…たのし、かった」
「あたしも!こうやって、話の合う子なんて、いなかったから。ね、また会えるといいな」
「…うんっ」

ーーーーーーーーーー

人で賑わう市場通りにひっそりと建つ小さな道具屋を訪れる度に思い出す。
「そういえば…あの子、どうしてるかな」
窓から射し込む陽を受けてキラキラと輝く硝子瓶を手にしながら、少女は小さく呟いた。
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